同人音楽をはじめて10年以上経ちます。長年で得た経験とノウハウを筆者なりにお伝えいたします。
これが全て正解な訳でもなく、あくまで一例として捉えていただければ幸いです。
これから同人音楽活動をはじめる方やDTMer、音屋さんにとって少しでもお役に立てられたら本望です。
どのイベントに向けて新譜を発表するかを明確にする
あなたの作品を頒布する目的があるのならば、イベントに合わせて新譜を発表するのが良いでしょう。もちろん頒布目的でない場合は自由なタイミングで自らの音楽を世の中に発信するべきだと思いますが、ここでは頒布を目的にしてお話を進めさせていただきます。
同人音楽のイベントは、流通センターで春と秋に行われるM3というイベントが音楽サークルにとってのコミケともいえるでしょう。


オールジャンルで行うコミックマーケットも鉄板のイベントです。

- M3開催時期 春(4月下旬あたり)、秋(10月下旬あたり)
- コミックマーケット 夏(開催時期8月中旬あたり)、冬(開催時期12月末)
この2つのイベントに沿って新譜を作ることになると年4タイトルもの作品を作ることになります。
作った作品が2次創作の場合はその2次創作をメインにしたイベントにも出展していけるという販路や認知度を高めるメリットがございます。(例、東方projectのアレンジ→博麗神社例大祭など)なおCircle.msというポータルサイトに登録すればコミックマーケットから地方のイベント、オンリーイベントまで一括で参加登録、管理ができるのでお薦めします。
あなたが作りたいものを優先するか、まずは認知度を高めるために2次創作の作品でアピールしていくかは、同人音楽に限らず同人業界全てにおいて同じだと考えてます。
特にあなたが作りたいもの(オリジナルなど)をより多くの人に知ってもらうためには、仕掛けや本人の実力も関係します。
本人の実力は創作活動をし続けていれば誰でもスキルアップ、レベルアップはしていくものです。
クリエイターとしての性なのか、それともサークルのプロデューサーとしての性をとるのかは明確にする必要があります。
一番大切なことはアレンジをする2次創作の作品にもオリジナル作品にも自身が手がける作品に対して愛があることです。
それから作品を“完成品”として完成させることほど難解なことはありません。途中で挫折する方もいると思います。もし一つでも作品として世の中にアウトプットすることができたら、自分を褒めてあげてください。慣れたら当たり前なことなのですが、この最初の1歩は難しいことです。とてもすごいことです。
作品(製品)の仕様について
CDプレス
シュリンク包装、帯など実際に市販されているCDと同じ豪華仕様のもの。

イメージはブックレット(ジャケットのこと)の紙媒体の料金が高いイメージで歌詞カードのページを増やすと一気に料金が跳ね上がっていく仕組みです(紙印刷代が高い)。*多くプレス発注すれば1枚あたりの単価は下がっていきます。
独自の考えでは頒布したい必要なCD枚数が300枚以上になる、と見積もった時はCDプレスをするような考えであります。
また海外工場と提携しているプレス業者さんの場合、納期については要確認です。(中国などのプレス工場の場合旧正月は稼働してません)業者さんによっては10日〜14営業日ほどで仕上げてくだれる会社もあります。土日はおやすみの業者さんが多いかと思います。あくまで営業日ですので日数をしっかり数えて申し込みしましょう。筆者の場合は納期を伝えて業者さんにスケジューリングをしていただいております。
通常マスターCD、印刷物データの2種類をプレス会社さんに送ってから納期スケジュールがカウントされます。
イベントの日から逆算して〆切を設定しましょう。(慣れていくと怖いものでイベント前日に納品、のようなギリギリまで作業をしたいクリエイター欲が勝ってしまう現象も起きたりします。)
筆者が長年お世話になっているのは、錦糸町にある有限会社ローノーツの「安いぜ.net」。
代表の大友氏は音楽スクールも構えている多彩な方で筆者とは長年の付き合いです。筆者は締め切りギリギリまで作業をすることが多いので、直接マスターCDを納品することもあります。レッスン中は難しいですが空き時間は音楽スクールに置いてあるビンテージギターの数々を拝むことができますよ。
手焼きCD
CDを焼く作業から、ジャケットの印刷まですべて自身の手で行う工程です。もちろん上記のCDプレスに比べると製品の見た目のインパクトやクオリティは下がります。
CDを1枚1枚焼くのはかなり至難といえるでしょう。収録分数にもよりますが枚数が100枚近いと1日仕事になってしまいます。一応ディプリケーターというまとめて10枚〜CDを焼く機器が存在しますがとても高価なものです。
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ディプリケーターを貸し出してくれる印刷屋さんなどもあります。チェックしてみてはいかがでしょう。
クリエイターズカフェ秋葉原制作所さんでは使用料金:5分200円(税込220円) にてディプリケーターを貸し出してくれます。筆者も昔ものすごくお世話になりました。

1時間ほどあれば(¥2640)収録分数にもよりますが100枚〜200枚は余裕で焼くことができます。なんともリーズナブル!
ダウンロードカード
ダウンロードカードにつきましては筆者は試したことがないのですが、かさばらないメリット等があります。デメリットにつきましては下記名刺サイズQRコードカード(裏技)にてご参照ください。
もし筆者がダウンロードカードを制作するとしたらクリプトンフューチャーメディア社のサービスのSONOCAが気になるところです。
紙カード100枚¥14,800から承っているようです。紙質もプラスチックカードと選べるところがポイントですね。
またconcaというダウンロードカード制作サービスもあります。使い方は音楽に限らず動画などでも良いのでMVやPVなんかも制作できます。汎用性が高いですね。

名刺サイズQRコードカード(裏技)

独自のサーバーやDropbox、GoogleDriveなど、相手と共有できる場所を確保する必要性がありますが、名刺自体を刷るのはとても低コストです。ただこの同人音楽は少し特殊でCDの現物として欲しいユーザーさんも多くいらっしゃると思います。名刺はただのカードサイズですのでかさばらない利点がありますが、より商品としての価値や見た目をとるならばCDというメディアをとったほうが良い気もします。特典などに使用するのがアリかもしれません。予算がないサークルさんにおすすめしたいです。
デザインの中に自身で用意したQRコードを貼ります。作品自体はリンク先にアップロードする必要性がありますのでご注意を。
印刷はプリントパックにて会員登録すると実質会員登録でいただけるポイントで無料で名刺が作れますので是非ご検討してみてください。お得すぎます。
印刷納品後は名刺カードサイズのOPPに封入してあげると、製品っぽくお洒落になります。
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私的な見解になりますが近年サブスクリプション、ダウンロードによってCDというメディアが化石化しつつある現状の中、”戦利品”として綺麗に包まれたパッケージのCDを購入するという醍醐味が界隈で根付いているのかもしれません。筆者もCDを子供の頃から購入してラックに並べていた故、とても真理がわかる文化だと勝手に納得しております。好きなアーティストのCDを1stから並べてみたり、A〜Z、あ〜わ順に並べてみたり。皆さんもありませんか?そういう意味では手焼きでも、ちゃんとCDメディアとして手に入れたい層が多いのではないでしょうか。
プレスされたものを自身で組み立てるエコノミープラン(裏技)
シュリンク包装はされておらず、個別にジャケット(ブックレット)、帯、CD盤面をプレス業者に発注。CDケース、包装は自ら行うというプレスと手焼きCDの中間をとった裏技でございます。通常CDプレスが500枚で¥60,000以上と考えても、こちらのプラン300枚程度でしたら¥40,000弱ほどで制作することが可能です。ただし200〜300枚を組み立てるのは少しだけ根性が入ります。
あまり予算はないけど、どうにかCDプレスのように綺麗に豪華仕様に見せたいサークルさんは是非参考にしてください。
OPP袋はこちらのCD PケースOPカバー(20枚入り)TS-521/3[TS5213]で包装してます。
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こちらのOPP袋ですが、とても梱包しやすく重宝しております。帯がなくとも封入するだけでぐっと商品っぽく見栄えも良いです。是非使ってみてください。


上記が個別にジャケット(ブックレット)、帯、CD盤面をプレス業者に発注、CDケース、包装は自ら行った作品になります。見栄え的にもプレスにほぼ近い状態です。メリットとしてはジャケットにサインしたのちに再びOPP袋で閉じることができます。(OPP袋の耐久性はあまりないので何度も開け閉めすることはお薦めしません。)
ジャケットイラスト、デザインの手配
イラストレーターやデザイナーに発注しましょう。最初は、どんなに良い音楽も手に取ってもらったり、クリックしてもらわなければはじまりません。あなたが手がける世界観の入り口、きっかけとなってくれるのが、ジャケットイラストになります。
イラストレーターへの報酬相場は¥30,000〜¥100,000ほど、プロとして活躍されている方ほど謝礼も必要かと思います。(いないとは思いますがどんな作業を外注する際も有償にしましょう。アマチュアの方に依頼する際も報酬が発生することがお互いの責任感に繋がります。“才能”に対して代金を支払います。お友達や仲間だとしてもご飯奢る、などしましょう)
断られることも多々あると思いますがそこはめげずに頑張りましょう。商業等で活躍しているイラストレーターさんほど、そのプロジェクトや作品に対して面白いかどうかの判断もしていると私感ですが思ってます。できれば同じクリエイター同士、ウィンウィンな関係になれると作品は2倍3倍に面白いものになると思います。面白い作品になりそうだ、と思っていただければあなたの作品に参加してくれます。
CDを作ると思い立った時点が理想ですがある程度楽曲サンプルや世界観も伝えなければなりません。このあたりはデモの段階でもいいのでイラストを描くにあたって支障がないと思った段階で発注しましょう。イラストを描き上げることも我々DTMerと同じく相当な時間と労力がかかります。1,2日では描けません。
イラストレーターへ発注する際の留意点
- 報酬の掲示(はじめてのお付き合いの際、信頼関係のために筆者は前金後金で報酬を支払ったりしたこともありますが、だいたい完成後で大丈夫と暖かいお言葉をいただいてます。ご参考までに。支払うタイミングは完成系の大きいサイズのジャケットデータ納品時が一般的かと思います。)
- おおまかな作品の概要と描いてほしいイラストの雰囲気(キャラクター1点なのか複数人なのか背景はあるのか、など)
- 進捗確認としてのラフ掲示(実際に主線を起こしたり色を塗ったりする前の段階でラフを見せていただくようお願いしましょう。こちらからお願いしなくてもだいたいのイラストレーターさんは一度ラフを提出してくれます。ラフは我々で言うところのMIDIやラフミックス音源のような形ですね。)
- できているなら楽曲サンプルを送る
- 宣伝用の動画やPOPでの使用許可も同時にお願いする
- 納期(大袈裟なスケジュールですと半年前くらい、遅くても〆切の2,3ヶ月前には発注すべきです)
筆者もSNS等でイラストに魅了されて、描いていただきたい想いでだめもとで連絡してます。結果素敵なイラストを描いていただけました。
確実に依頼したい場合はココナラでイラストを発注
するのが良いでしょう。
料金も人それぞれで様々で画風もバリエーション豊かです。ココナラ
という運営会社を通すことで確実に納期を守っていただけます。同時にCDのデザインについても同時に考慮すべきでしょう。
一度一緒に仕事を完了させた後はその後の状況にもよりますが次回お誘いしやすい、リピートしやすい信頼関係が成り立つと思います。
作品参加者(歌唱者、演奏者)への依頼
歌唱者や演奏者などへ依頼も早めにしましょう。対価を支払うことに関してや納期連絡等は上記のイラストレーターと同じになります。
宅録環境がある人への発注なのか、収録に立ち会うのか、でスケジュールや動き方が若干変わってきます。
宅録環境がある方への発注
主にメールやチャットなどでのやりとりになります。BPM(楽曲のテンポ)を添えて縦のラインがしっかり揃ったガイドメロディとBGMのデータをデータなどで送ります。
歌唱・演奏収録で必要なデータ
- オケ(BGM)(ステレオ)
- ガイドメロディ(モノラル)、(ハモリや別メロディは綺麗に分けてトラック別にする)
- クリック(収録する人によってはクリックが生成できない環境の方もいると思います)
- 歌詞・ディレクションをまとめたテキスト等
- リファレンスURL(参考曲があればそのURL)
- 作品の雰囲気を知るためのイラスト(現時点でのラフでもかまいません)
ディレクションを直接できないので、どういう歌唱や演奏をして欲しいのかしっかり伝えましょう。
例)この楽曲はしっとりバラードで曲調に抑揚もあるのでサビまではウィスパーな雰囲気でR&B調で自由に歌い上げてください。ムーディさやしゃくりやヴィヴラートなど個人的に好みです。サビは楽器隊も増えるのでパワフルに歌い上げてください。高い部分はできましたらファルセットではなく地声でしっかり表現したいです。
もし歌唱や演奏スタイルのイメージがあるならリファレンスとしてYouTube等で雰囲気を伝えるのもありです。データは必ず2小節は余白をあけましょう。たまに頭だし0:00からのデータを見かけます。これは収録しづらく意図しないノイズにつながります。ファイル形式、WAVやAIFF、ビットレートの確認、24bitなのか16bitなのか、44.1khzなのか48khzなのか、こちらも相手側にしっかり伝えましょう。基本は過度なコンプレッションのかかってないNoFX状態のデータを所望しましょう。人によって納品されるデータは収録環境が異なるため様々です。別作品ですとある程度こちらで合わせる必要性があります。その手法についてはまた別の機会にお話しします。
例)全てデータはモノラル 24bit48khzのWAV形式でお願いします。ハモリパートはアナログでダブルでLRにふりたいので2テイク分欲しいです。等
歌唱や演奏テイク納品後、素材のエディットをした後は歌唱者や演奏者に確認をしてもらうことを忘れずに行ってください。
収録に立ち会う場合
収録スタジオの手配や収録スケジュールを組むことになります。
最近では安価なオーディオインターフェースでもそれなりのプリアンプがついてますので簡単な収録の場合はリハーサルスタジオが一番安いと思います。リハーサルスタジオは完全なる防音ではないこと(例:運悪く同じレンタル時間帯で隣のスタジオ部屋でドラムのドドスコ音とベースのボボン音が聞こえる)、コントロールルームがないので演奏者歌唱者と同じ空間にいる状態で収録することになるデメリットがあります。
しかしながら、ノートパソコンとオーディオインターフェースがあれば簡単に収録することができます。今ではリハーサルスタジオでオーディオインターフェースや収録用のコンデンサーマイク、マイクケーブル等を貸し出してくれるスタジオもあります。
またコンパクトのヘッドフォンアンプがあると、同時に複数のモニタリングが可能になります。なにかと収録しやすいです。
オーディオインターフェースはディレクションをするためにヘッドフォン出力やアウトプット出力が最低2つ以上ついているものをおすすめします。
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音楽スタジオSOUND STUDIO NOAHはかなりレコーディングのオプション機材レンタルが充実しているのでおすすめです。オーディオインターフェースもUniversal Audio Volt276、RME Fireface UCXという高品位なオーディオインターフェースがレンタルできるのは素晴らしいですね。
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こうしてリハーサルスタジオのオプション機材をみてみると、収録用に機材を購入しなくてもレンタルで事足ります。リーズナブルになりました。
別途本格的な収録スタジオや完全防音のスタジオをお探しの方は筆者までご連絡ください。ご紹介します。
イベント前に必要なもの
宣伝告知
SNS
M3やイベント名のタグ付をして発信する。Twitterの場合固定ツイートにする。携わった制作陣、参加者をタグ付する。
とにかく多くの人に知ってもらう必要性があります。筆者の場合は宣伝動画を目を惹いて再生してもらいたいために0:00秒の箇所は必ずその作品のジャケットになるよう工夫してます。(普通に動画制作してそのままアップロードしてしまうと、たいていは黒背景やジャケット以外の画像になってしまうため。)もちろん動画はTwitterですと現状2:20まで、という制約がありますのでジャケット画像を告知と一緒にアップロードしてYouTubeなどの他のメディアへ誘導するといいでしょう。SNS宣伝動画→気になる人はそのツイートの追加ツイートでYouTubeやSoundCloudに導く、というようなイメージです。
Twitterにはプロというモードがあり、プロにすると有料にてプロモーションする、という項目が増えよりフォロワーではなく興味がありそうなアカウントにツイートをプロモーションできる仕組みが存在しますが筆者はまだ使ったことがありません。¥1,000〜宣伝可能ですがどれだけのアプローチやリアクションがあるのかは不明です。
せっかくの良い作品も前日などに告知しても認知してもらえません。理想的には新譜を頒布する日にち(発売日)から逆算して2週間前には宣伝できるようにすることをお薦めします。
YouTube
宣伝動画はSNS(特にTwitter)にアップロードすると少なからず画質等劣化します。YouTubeは割と高画質になるのでSNSにアップロードした作品は忘れずにYouTubeにもアップロードしましょう。
SoundCloud
通称”音雲”と親しまれている音楽配信に特化したサービスです。単純に動画ではなく音楽のみを楽しみたい、探したい方が利用しており、海外へのアプローチに特化している雰囲気です。筆者も過去作をたくさんアップロードしてますが主にコメントはDMが来るのは外国人ばかりです。Buy機能をメタデータに挿入すれば独自のBOOTHや頒布している通販ページへと誘うことができますので忘れずに。
M3友の会
M3の公式サイトにある掲示板形式のサービスでバナーを貼ってサークル側が宣伝できるというサービスになります。イベント前になると、こぞってたくさんのサークルさんがバナー告知をしますが頻度的には1日1回でも多いのではないかと思います。同じサークルさんのバナーばかりをよく目にしますので本当に伝えたいことや更新した情報があった際に利用するよ良いでしょう。筆者はイベントまで、3、4回ほど追加情報があった際に更新するようにしてます。
動画制作(MV,PV)
筆者は趣味程度でFinalCutで動画制作をしてます。下記動画は自ら制作しました。
音楽制作の傍ら動画制作を覚えるのもまた至難だと思います(音楽制作に集中したいですよね)。筆者も素人の延長線上ですので限界があります。そんな時はコストはかかりますが専門家に別注してしまいましょう。SNSで動画制作できるクリエイターを探して依頼してみるのも良いですし下記のサービスもあります。
CDデザインや動画制作など、対価を得て仕事をしているエキスパートに依頼できるのでクオリティや納期等満足できると思います。筆者もそのうちロゴデザインを依頼してみたいな、と思ってます。
イベント中に必要なもの
キャリー、カート(運搬用)
在庫やPOPなどを運ぶ際に便利なものとしてキャリーやカートを紹介したいと思います。
バンドマン御用達のマグナカートなどにCDの段ボールを固定して運ぶのがベターかと思います。
その他、旅行用のキャリーでも問題ないと思います。CDや頒布物を会場まで無事に運ぶことが重要です。

スーツケースも色々サイズやデザインもあります。悩みどころですね。
事前搬入などあるイベントは参加案内を見て事前搬入することをお勧めします。(実は筆者は事前搬入をしたことがありません。)
POP関係
ポスター
光沢紙、半光沢紙、など様々な紙のバリエーションが世の中には存在しますが低コストで印刷できるPET合成紙、というものをお薦めします。
イベント会場の照明や角度によって、光飛びすることがなくマットでサラサラした品質ですので、遠くから見た時もしっかりくっきりとポスターを認識できることができます。

よく筆者が利用しているのはシュアプリント、プリントパックなどです。プリントパックは初回登録時にポイントが発行されることがありますのでお得にポスター、それ以外も注文することができます。
おしながき
筆者は長らくプリンターを所有しておりましたが頻繁にインクが切れる、インクビジネスに踊らされていることに気づきました。なにかとプリンターはトラブルがつきものでしたので(筆者の場合)今はコンビニプリントでPDFやJPGをカラーでそれなりに綺麗に印刷できるのでこれがマストかと思っております。
プリントアプリには以下のものを使用しております。
- PrintSmash(ローソン、ファミリーマート対応)
- かんたんnetprint(セブンイレブン対応)
PCやスマホでデザインしたものをdropboxやスマホ経由でWi-Fiにてコンビニのプリントに読み込ませ印刷をする形になります。
ポスタースタンド
筆者はPO.SU.TAを愛用してますが、こちらの商品は人気が絶大のため品薄のことが多々あります。
ポスタースタンドによっては脚部分が脆弱なことがあります。その場 合、地面にガムテープなどで固定したりしますがイベントや会場によってはNGなところも多いため、そういう際は自身が持ってきた荷物やキャリーケースでポスタースタンドをうまく固定して使いましょう。
もちろんスタンドを立てるときは横後ろのサークルさんに気を使いながら配備しましょう。
ここ最近新しいポスタースタンドを発見しましたのでこのブログにて共有させていただきます。
近年ツイキャス配信をはじめたのですがその際に背景布スタンドを購入しました。
ふと思ってしまったのです。この布スタンド…使える!と。
布を支えるスタンドなだけあって結構頑丈ですし、コンパクトにもなります。注意点としては配信用の背景スタンドなので横に長いものが多い、という点です。あなたのサークルがダブルスペース(サークルスペース2つ分)の場合はポスターを同時に2枚も横並びに設置できると思いますが、通常スペースの場合は購入時によく横のサイズを確認して導入することをおすすめします。ポスターを固定する部分だけは工夫が必要ですが是非ポスタースタンドを探してるが良いものが見つからない方は選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
釣り銭
当たり前ですが頒布するものの値段が¥500の作品をお札で支払うとお釣りが生じます。
500円玉は特に同人音楽業界では必須の小銭だと思いますしイベント開始直後に10000円札ということもあります。お釣りは10000円分くらい崩しやすい形で持っているのが無難でしょう。
ちなみに筆者はここの項目が疎かになってます。反省しながら執筆してます。
釣り銭をいれる箱、財布等
イベント会場は人の出入りも多く自己管理はしっかりしなければなりません。筆者は被害にあったことはまだありませんが盗難被害などもあります。しっかりとした形で、なおかつお釣りなど出しやすい財布が良いと考えてます。かさばりますがキャッシュケースを導入しているサークルさんがいてとても良いな、と思いました。
とてもリーズナブルな価格でありますね。個人的はワンタッチで開け閉めができ、なおかつ鍵がついているケースが良いと思います。
ガムテープ、養生テープ
超必須アイテムです。臨時的になにかを固定することも、つなぐことにも必要なアイテムです。コンビニや文房具屋で購入するよりは今はヨドバシカメラやビックカメラ、楽天市場やAmazonでも取り扱いがあるため、手焼きCDからスタートする際はまとめて購入してポイント還元するのも良いと思います。
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布テープ 50mm×25m巻 5巻軽・中梱包向き布テープ。クラフトテープに比べ強度がある上、手で簡単に切ることができます。ガムテープ 布テープ 梱包資材 梱包テープ 価格:1,900円 |
ペン
稀にサインを頼まれることがあるかもしれません!
あとは参加登録証を書き忘れてしまったパターンなどですね。在庫確認等もスマホのメモ帳で十分ですが意外とペンって必要なタイミングが訪れたりします。1本は持参しておきましょう。できれば油性の星マジックペンですと使い勝手が良いです。
テーブル布
よくイベント会場に用意されたテーブルにそのまま直置きでCDを並べているサークルさんを見かけますが、お世辞にも良いとは言えないです(見栄えが)。
せめて色のついたテーブルクロスを導入しましょう。頒布する作品も売物ですので、作品を直にテーブルに置くよりも遥かに見栄えも良くなるし、それだけで作品への制作者の愛が伝わってきます。
筆者は自身の作品のイラストでデザインした布製のオリジナルテーブルクロスを敷いております。


印刷通販のグラフィックとKOOG 神戸オリジナルグッズ製作所にてテーブルクロスを制作しました。とても高級感あって気に入ってます。
左側がグラフィック社のもの、完全な布という質感でサテンっぽい生地は触れていて気持ちいいです(左写真)。右側は神戸オリジナルグッズ製作所のもの、ターポリン生地という、しっかりとした丈夫なクロスです。両方とも¥5000くらいになります。長らく使える物でPOPとしてはとても良いと思います。
試聴機

iPadやタブレット、そのほかミュージックプレーヤーをおすすめします。そこまで高価なものでなくてOKです。(試聴に特化したiPadという意味で)
試聴用にストレージの少ない安いタブレットやスマホを導入することをおすすめします。
試聴機がタブレットの場合はディスプレイがOFFにならないように設定しておきましょう。またモバイルバッテリーも必須です。

スタンドはこちらと同等のものを使用してます。スマホスタンドとして普段使いもできますし持っていて損はありません。素材や耐久性にこだわりがなければ100均ショップにもあります。
音楽のイベントでは自身の持ち合わせたイヤホン、ヘッドフォンで試聴したいサウンド通な猛者も多いためジャックのある媒体での試聴が好ましいと考えております。
もちろん自身としても試聴用ヘッドフォンを用意しておきましょう。イヤホンだと直接他人と他人の耳の中が当たるため嫌がる方もいます。
筆者は普段制作でも使用するSONYのMDR-900STを試聴用ヘッドフォンとしても使用してます。
あと上記のMDR-900STで試聴機を使用する際は変換ジャックを忘れずに。筆者はこちらを忘れてしまったことがあります。
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audio-technica(オーディオテクニカ) AT3C19S(φ3.5ヘッドホン変換プラグ) AT3C19S 価格:576円 |
ご時世的に試聴のやりとりがある場合、定期的にイベント中はアルコール消毒すると良いと思います。
CDプレーヤーの場合は、作品そのものをアピールできますが、いくつかある作品を連続で試聴したい場合CDチェンジをするのが面倒になるというところから筆者はお薦めしません。
参加登録証(イベントごとに異なる)&イベントへのサンプル提出
M3というイベントはサンプル(イベントで頒布する作品を運営に提出)の提出はありませんが、コミックマーケットは事前に頒布する作品のサンプルを提出する義務があります。(提出しないと頒布することはできません)よくサークル駆け出しの頃は私もすっかりサンプルとともに提出する提出カードや参加登録証を記入忘れをして、その場で記入するのですがイベント当日に書いて、設営時間を無駄にロスするという事態がありました。
イベント当日に用意するのではなく前日までにしっかりと記入してしまいましょう。
売り子さん
チームとして同人サークルを運営しているならば全く問題ありませんが、筆者のように(悲)一人の個人サークルの場合、休憩ができないという事態に陥ります。長丁場なのでトイレ休憩などは必須です。売り子さんはちゃんと雇いましょう。その際売り子さんも時間を割いているのでそれなりの対価はお支払いしましょう(売り子さんが活動している場合、売り子さんの物販も展開してあげましょう、日当として支払う、そのほか飲食物の手配など)売り子さんによってブースも華やかになりその結果より多くの人たちへ認知していただけます。
近年どのイベントもサークル参加としてもらえるチケットはだいたい2枚が限界です。ダブルスペースなどの場合M3は4枚になります。(2022年春時点)
近年はチケットはリストバンド化してます。事前にQRコードで登録する形がベターですのでイベント前までに忘れずに登録しましょう。
チームとして運営しているサークルさんは時間など決めて交代制をとっているサークルさんがほとんどだと体感しております(お隣のサークルさんなど)。
設営完了
イベント当日設営がある程度済んだらSNSで、あなたのブースNo、サークル名とともにハッシュタグ、#設営完了とツイートしましょう。華やか状態であることをアピールすることも重要です。
可愛い売り子さんで確実に目をひくことができます。
版権のイベントで売り子さんやあなた自身がコスプレをしてブースに立つのも良いと思います。作品への愛が伝わってきます。
イベント後にやること
BOOTHでの通信販売
ピクシブ株式会社が運営するサービス、BOOTHでの通信販売をしましょう。
BOOTHはPixivでのログインIDとパスワードが必要になりますので、これを機にアカウントを取得しましょう。

参考までに上記は当サークルのBOOTHショップです。
イベント頒布する前から予約購入設定できたり、色々と出品方法をカスタマイズできます。個人で様々なものを出品できるサービスです。
作品登録の際の注意点としては必ず発送方法は、あんしんBOOTHパックに設定する。その他の発送方法を選ぶと、出品者購入者お互いの住所名前を掲示されてしまうのでお気をつけください。また、発送の際に役立つのでアプリ版のBOOTHもスマホにインストールしておきましょう。
メリット
- 手数料が委託の卸値よりもリーズナブル
- 末締めの翌月20日前後5日支払いなので売上が入金されるのがはやい
- 購入者と個別でDMができるのでコミュニケーションが密にとれる
- BOOST機能があり商品価格に購入者が金額を上乗せしてサークルを応援することができる
- 在庫管理を自分で行える(商品管理ページにて在庫数を自分で入力できる)
- 在庫管理できるので限定部数の商品作品も頒布しやすい
- ダウンロード作品も頒布できる(東方project作品は手数料、版権使用料が発生します)
- フォロー機能があるので実際にサークルを気にかけている人数がわかる(サークル側のみ閲覧可)
- あと1点になると自動的に、あと1点のポップアップが商品ジャケットに表示される
デメリット
- 発送、梱包は自らの作業(逆に捉えると愛を込めて梱包発送できます)
発送はあんしんBOOTHパックの場合は、コンビニエンスストアでQRコード発行のもと伝票を店員さんに発行してもらってそのまま店員さんに渡すだけです。新譜などで同時にたくさん購入者がいる場合は注文番号を必ず控えましょう。誰がなにを購入したかを把握するためです。(筆者は梱包した封筒に注文番号を書いてます。)また購入された場合、発送は迅速に行いましょう。
複数購入者やBOOSTしてくれた方に対してスペシャルな特典や感謝の手書きのメッセージなども添えると、とても良いでしょう。
BOOTH フォロワーに対して一斉にメッセージを送るサービス(一ヶ月に一度だけ無料)があります。制約なく何通も送れるサービスは有料サービス(月額¥550)になります。ここぞという宣伝をしたい時に是非活用しましょう。実はBOOTHにそんな機能があると見落としている方も多いかもしれません。
管理画面→BOOTH Apps→メッセージ一斉送信→一斉送信はこちらからご利用できます。
海外のファンのためにBOOTHはtenso.comと提携してますので商品編集ページにて海外購入の可否を設定できます。海外発送ですので当たり前ですが商品到着まではラグがあります。
pixivFactoryにて在庫を抱えずにグッズ商品を制作することも可能です。
同人ショップへの委託
自身の販路としてはBOOTHなどの通販、手売りなどと限界があります。地方に広くアピールするなら地方に店舗をかまえている同人ショップへ委託発注するのが得策でしょう。
通常卸値は7割になります(ショップごとのキャンペーン等で多少変わります)。¥1,000のCDが1枚売れると¥700の売り上げになる計算です(消費税は含まず)
- メロンブックス(同人音楽が一番委託されている全国ショップ展開する大手ショップです)
- とらのあな(全国ショップ展開する大手ショップです)
- AKIBA-HOBBY(東方project等に力を入れいている店舗です)
- Grep(金沢にあるショップで東方project等に力を入れている店舗です)
- ブックメイト(自社でのPOP制作など力を入れてくださるショップです)
- あきばお〜
ざっとあげてみましたが上記の店舗は委託サークルを募集してます。(委託枚数など審査有)自宅にストックを眠らせておくのはもったいないので是非各ショップへ委託することをお薦めします。筆者は自身の即売会イベントとBOOTHなどで直接ファンとやりとりするのが心地良いので今現在はメロンブックスのみの委託取り扱いになってます(過去作は各店舗に有り)。
それなりにサークル認知もされ、ショップの担当者さんと仲良くなれば、面白い企画などをサークルとショップと連携して行うことも可能かと思います。
購入してくれた方へのレビューなどへの感謝
M3終了後は“M3 戦利品”でSNSにて検索してみてください。
M3で手に入れたCDを並べてアップするという文化が根付いてます。ある意味エゴサしている状況ですが、もし自身が作った作品を購入してくれた方が写真アップロードやnow playingとして発信してましたら、いいねやハートなど感謝をこめてリアクションしましょう!
きっと次回も新譜をリリースした際にはチェックしてくれます(多分)
次回予告
M3ありがとうございました、と発信しつつ次回作はこんなものを作ります!や、作品の感想を大切にして次回予告もしましょう。あまり発信がなくなってしまうとサークルの存在を忘れられてしまいます。あまりしつこくならずとも自身の出した作品をたまに宣伝しましょう。あとから知って気に入ってくれる方も少なからず存在します。
終わりに
以上が同人音楽サークルを運営するにための道のり、になります。ざっと書いていますので追記情報はリライトしていければと思います。意外と書き出してみると、やることが多いですね。チームでサークル運営をされている方はしっかりと役割分担して随時進捗状況等確認をしましょう!
筆者の情報で少しでもお役に立てられたら光栄です。それでは皆さん良い同人音楽サークルライフを!
*なおこちらの記事のタイトル写真は下記にて素材をお借りしました。会員登録すれば無料でダウンロード可能です。写真以外にもイラストもあります。写真素材をお探しの方は是非。

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